たまには美男子の顔をみにきてやについて
高血圧、高脂血症など、私のかかえている病名は多々ある。それを一手に引き受けてくださっていたのが、御高齢の医師だった。薬だけをもらいに行って、診察室に入ろうとしない私に向かって、あのなあ、たまには美男子の顔もみにくるもんやで。とおっしゃる。噴出しそうになりながら、はいと返事だけはまとも。ある日など、風邪で診察室に入っていくと、この間、あの人のところに往診にいきましたんやで。二人で、歌うたってきましたわ。牛若丸の歌で素よ。知ってますか。と言って、京の五条の橋の上と歌いだした。風邪がいくらひどかろうが、この医師にかかると、私は楽しいんじゃと、帰り道こっちも歌いながらかえることになる。ちなみにあの人とは認知症を患っている近所のかっては才媛だったおばあちゃまのこと。
ある日、隣の駅の橋の上でであったことがある。ドクター私にいきなり弁解をし始めた。あの病院に友人が入院してましてなあ、見舞いに行ってたんですわ。はあ、そうですか、ごくろうさまです。とこっちもまともな返事をかえすが、頭の中では?マークがいっぱい。何しにきたはったんやろ。こういうことはそれからも2,3回あった。あの先生、浮気したはるかな。それやったら楽しいなと勝手な妄想を抱いていた。
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